物語の主人公は、作品の始めと終わりでは、なんらか変化をしています。その過程を朗読という形でともに歩むことで、朗読者は力をもらいます。聞き手の方々にも、聞き終わったあと視界が少し明るくなっているような体験を提供できたら、どんなにうれしいだろうと思いながら、作品選びや朗読を続けています。
人の生き方に触れる朗読
朗読者は、物語の世界への良き案内人である、という役割を軸に考える
自分の朗読は上手だろうか、下手だろうか。鬱陶しい読み方だと思われていないだろうか。控えめ過ぎて届いていないのではないだろうか。などのような「自分がどう思われるか」という観点から解放され、あくまで「物語の世界への良き案内人」であるという役割を全うするためには、どうするのが良いか、という尺度を大切にしたいと思っています。そうすることで自然と適切な度合いの表現が身についていくと信じています。
文章を自分の言葉として語れるよう、丁寧な読み取りと、読み込みをする
人が書いた文章をいかに「自分の言葉」として語っていけるか。その言葉が生まれた状況や背景を丁寧に読み取り、作品の世界を自分らしく表現できるよう、文章と親しくなっていく過程を楽しみながら、何度も読み込むことを心がけています。
聞き手も読み手も楽しめる朗読を目指す
一方的に朗読を聞いてもらうのではなく、いかに聞き手を物語の世界へ巻き込んで一緒に展開を楽しめるか、ということを大切に、風通しよく、ともに味わえる朗読空間づくりを目指しています。
朗読及び朗読者の可能性を信じて探求する
朗読とはこうあるべき、とか、こういうのは苦手、などという考え方がもし自分を窮屈にしてしまっていると感じたときは、一旦枠を外し、いろいろな朗読があること、いろいろな側面を持った自分がいることの豊かさに目を向けて、枠の外へ挑戦する心も大切にしようと思います。
一人一人の個性が伸びやかに発揮できること
第一印象で与えるその人の声、雰囲気、性格が生きる朗読を目指すとともに、本当は持っているのにまだ使っていないその人の感性、エネルギー、表現力も伸びやかに発揮されていくよう応援します。
幅広いジャンルの作品を教材に使います
現代小説、文芸作品、詩、エッセイ、あるいは時代物、童話、サスペンス、ファンタジーなどあらゆる作品を題材にし、その世界を自分らしく伝えられるよう取り組みます。それぞれの作品の世界を活かす表現を探ることで、朗読者の表現の幅も広がります。
あらゆる朗読形態を体験してもらいます
一人での朗読だけでなく複数人数による朗読劇の形式や、分かち読みのスタイルにも取り組みます。
人と受け渡しをしながら読むことで初めて気づく文章の構造もあります。
また呼吸を合わせて言葉を繋ぐことで生まれる、表現の奇跡もあります。
「好き」「得意」をみつけ、磨いていくことも大切にします。
様々な作品に取り組む中で、それぞれの好きな物語の傾向や、声質が生きる得意なジャンルなどをみつけ、そこを深めていくことも協力します。
何度でも基本に戻って見つめ直す機会を提供します。
豊かな表現の土台は、しっかりとした基本です。自分の身体を楽器として鳴らせる発声、聞き取りやすい滑舌、癖のない読み方の基本など、進歩の過程で何度でも立ち返ってみることのできる単発のレッスンも用意します。